【コラム】うつ回復支援における段階的アセスメント



本文

本稿では、うつ回復支援における段階的なアセスメントの一例を提示します。

まず前提として、以下の3点をご理解ください。

  • 回復過程は直線的ではなく、段階間を行き来する
  • 回復は自己判断のみで進めるものではない
  • 医療との併用を前提とする

これらを踏まえたうえでお読みください。


本モデルは、後生川側の評価軸として用いているものであり、クライアントへ説明しているものではありません。

状況判断と介入方針の決定は、支援者の役割として行っています。

現在どの段階にあるのかを見極めることは、回復の質とスピードを大きく左右しますし、正しくアセスメントする為には正しい情報を得ることも前提となります。



1.薬物療法の適応判断が不明確な段階


初診時に必ずしも適切とは言えない処方がなされているケースや、そもそも薬物療法を必要としない状態、あるいは情報過多による自己診断が先行している、これまでの支援ケースで見受けられました。

この段階での判断の誤りは、その後の経過に大きな影響を及ぼします。

まずは適切な評価に基づく修正が必要なのです。


2.適切な薬物療法および主治医の選定段階


医療機関や主治医の選択は極めて重要です。

  • 十分な問診がなされない
  • 症状の評価が不十分
  • 治療経験が乏しい

このような状況も現実には存在しています。

「通いやすさ」だけでの選択や、いわゆるドクターショッピングは推奨されません。
信頼関係を構築できる医療との接続が必要です。


3.症状の悪化を回避し安定化を図る段階


治療開始後、一時的に悪化する場合があります。それが症状によるものか、副作用によるものかの見極めが重要となります。

理由は、添付文書に記されている「副作用」は、うつの「症状」と同じだからです。

「改善」ではなく、まず悪化の回避と安定化

ふいによぎる希死念慮に、引っ張られない様にすることが最優先となります。


4.薬物療法下での試行錯誤の段階


多くの方が「具体的に何をしたらいい」か迷われます。

回復するためには、回復していない方に聞くよりも、回復した経験者の言葉に耳を傾けてほしいのです。

この時期に適切な理解と小さな一歩を積み重ねることで、次段階への移行が可能となります。


5.最小限の薬物療法で維持可能な段階


復職や将来設計など現実的課題への不安が顕在化することもあります。病を抱え仕事へ行けず経済的不安を感じることは正常。

正常な不安か、異常な不安か、見極め段階。安易に増薬されてしまうのがこの時期です。

判断を間違えないこと。

この段階は、今後の生き方を再構築する重要な分岐点だと、私は考えています。


6.減薬過程における安定維持段階


減薬のタイミングと方法は慎重な判断を要します。

医師との適切なコミュニケーションが不可欠であり、「先生どうにかして下さい」「言わなくとも察して」といった受動的な姿勢では困難です。

正しく状態を伝え、自分が受ける治療に責任を持ち、進めることが求められます。


7.断薬前後における再燃予防段階

これまで支援した多くのクライアント様に共通して起こりました

断薬直前は心理的負荷が高まりやすいという事実。

通院卒業への期待と再発不安が混在する中で、適切な準備が再燃予防に直結していきます。



8.ストレス耐性の回復と再発予防段階


薬物に依存しない状態で、日常生活上のストレスに対処できる段階です。

人生においてストレス要因は避けられません。

重要なのは、それらに対して再び抑うつ状態へ逆戻りしないための対処力を身につけること。

悩むたび受診することは、得策ではないのです。




以上が、臨床実践に基づく段階的アセスメントの概要です。

現在どの段階にあるのかは、お一人おひとりの状況により異なり、ご本人の理解度や状態に応じた介入が不可欠です。

回復は一直線ではなく、揺らぎながら進行します。

この大前提を踏まえつつ、焦らず段階的に進めていくことが重要だと考えます。


後生川うつ専門研究所では現在、 

「今どの段階にいるのか」
「どこでズレているのか」
「次に何をすべきか」

 これを明確にするための個別相談を行っております。

 誰にも相談できないまま、何年も薬物治療と休養で様子をみて、結局10年経過してしまった…そのようなご相談も多くありました。

 特別なことはいたしません。

 まず、あなたのこれまでの経過を整理し、現在地を正確に見極め、必要なステップを一緒に確認しますね。

 (※個別相談は下記よりご案内しています)