【うつ克服専門】再発させない「統合支援」を行っています

「規則正しい生活をしてください」

ある方は、以前受けていた病院でそう言われ続けたという。

「それが出来ないから困っているんですが…」

業務的で論理的に話す医師の言葉は、患者を余計に苦しめます。

毎日同じ時間に起き、同じ時間に食事をし、同じ時間に眠る。

真面目な方々は、真面目にその通りにしようとした。

生活習慣を整えることはとても重要。けれど良くならなかった… むしろ悪化していくのです。

その方が本当に困っていたのは、生活習慣の乱れではなく、眠れない夜に襲ってくるあの不安。

家族からの冷めた対応や、友人からの不意のあの一言だったりする。

「今日は眠れるのだろうか」という焦りかもしれない。

頭痛や自律神経の乱れによる身体の冷えから眠れないのかもしれない。

ネットで見たあの記事に不安が増してしまっているのかもしれない。

生活リズムを整える前に、そこに至るもっともっと深い部分を見落としています。

順番が逆だったのです。

うつ克服を目指す方へ、「何を提供するか」だけでなく「何を先に、何を後にするか」という順番があることを忘れないようにしています。

私はこれを「バランス」と呼んでいて、ただ、多くの人が思い浮かべる「バランス」とは、少し意味が違います。

「バランスよく支援します」と聞くと、多くの人は「あれもこれも、まんべんなく手をかけてもらえる」ことをイメージするでしょう。

けれど私が、10年間医療現場の外の現場で見てきたバランスは、それとはまったく違う。

睡眠・薬剤・主治医との相性・仕事・家庭・人間関係・過去のトラウマ・血の巡り…など

うつの方は精神的・身体的・社会的にバランスを崩し、かつここに負の循環が起きているのです。すべてつながっているので、揺り戻しも起こりやすい。

うつを抱える人が同時に抱えている課題は、たいてい一つではありません。

だからといって、その全部に同じ強さで手をつけようとすると、どれもこれもが中途半端になる。

整えようとした生活リズムは崩れ、仕事復帰への焦りは消えず、薬の不安もそのまま残る。

全部に手を伸ばして、結局どれも変わらなかった‥‥

そんな経験をした方も、多いのではないでしょうか?

私が「バランス」と呼んでいるのは、全部に同じ力を注ぐことではありません。

今、この人にとって何を最初に扱うべきかを見極めること。

それが、私の考える統合支援のバランスの本当の意味なのです。

眠れていない人に生活習慣の話をしても、頭には入らないし、薬が合っていないと感じている人に仕事復帰の計画を立てさせても、不安は消えない。一旦職場から離れるべき状況なのに、その緊急性を本人も家族が理解していなかったりする。順番を間違えると、正しいはずの支援が届かなくなります。

本当は内分泌系の病気や貧血があるのかもしれない、いや更年期の症状かもしれない。

合わない仕事なのに、本当は辞めたいのに、また戻って調子を崩しているだけなのかも。

うつ症状と言われても、実はその方の性格かもしれない。

だから私は、支援を始める前に、まず「この人にとって、今いちばん優先すべきものは何か」を見極めることから始めています。

そしてこの見極めは、どこから来るのか?

看護師としての視点は、観察を通じて身体に何が起きているかを見る。眠れているか、食べられているか、薬がどう作用しているか。適切な治療を受けられているのか、など。

精神保健福祉士としての視点は、その人を取り巻く環境—仕事、家族、経済的な事情—を見る。うつでも使える社会制度を提案し、復帰の後押しをする。

大学院で培った論理的に捉える視点は、集めた情報を整理し、何が原因で何が結果かを切り分ける。

カウンセラーとしての視点は、寄り添い、言葉にならない感情の動きを拾う。

けれど、これらを組み合わせるだけでは、正しい配分にはたどり着けません。

最後に効いてくるのは、資格でも理論でもなく、実際に伴走してきた中で積み上がった感覚

「この人は今、言葉では大丈夫だと言っているが、本当は違う」


「いや、このタイミングでこの話をしても、まだ届かない」

「この表情は、ちょっと危険かも」

こうした判断は、教科書には書かれていません。

書いてあるとしても、当事者の独特な視点が完全に抜けている。

300人以上の方と、それぞれ時間をかけて関わってきた中で、初めて磨かれたものだと感じています。

知識は、見るべき場所を教えてくれます。

私が資格を羅列すると、元当事者感が消え、近寄りがたいと思われてしまうかもしれません、でも私は知っていました。

○○だけ…の視点では、必要な支援につながらないことを。

いつ・どの順番で手を差し伸べるかを決めるのは、当事者経験、10年間の支援経験、積み重ねた知識からしか得られない感覚だったのです。

当研究所の「統合支援」は、すべてを均等に支援することではありません。

今のあなたにとって何を最初に扱うべきかを、身体・環境・言葉・そして経験から得た感覚を重ね合わせて見極め、その順番で手を差し伸べることなのです。

【※それらは文書にまとめお渡ししています】

後生川礼子